天体撮影に必要なこと優先順位

星空を撮影するのに一番最初に思いつくのは「どの望遠鏡にしようかってこと」と思うかもしれませんがそれは最終的に一番最後のセレクトになりました。なぜそうなったのか、この一年でいろいろと試したことを振り返りながら綴ってみます。細かなことを除くと、優先順位は次のとおりです。

1.機材のオペレーションシステムとオペレーション技術

  →これなくしては無駄な時間を繰り返すことになります。

2.撮影した写真の加工技術

  →デジタル撮影の出来上がりの半分のウェイトを占るほど重要。

3.望遠鏡

  →自分の撮影スタイルに合ったものをセレクト。

この1年で学んだこと

2022年7月から星空撮影を始めようと思い立ち、初めにやったことはYoutubeでの学習でした。不幸か幸いか最初の2カ月はあまりいい天気がなく、時間を持て余し、最近の天体撮影事情をじっくり学ぶ機会がありました。その中でも驚いたのは自動導入やオートガイドの進化でした。そしてもう一つはデジタル画像処理。ひと昔は有名な天文台が撮影した教科書に載っていそうな写真を簡単に撮影できるんだって驚きました。そこからは実際に沢山の機材を購入し使ってみました。

一番最初に買った機材

最初に買ったのは「スカイウォッチャー マルチファンクションGOTOマウント」もちろんヤフオクの中古品。お金を掛けずにシステムとオペレーションの練習をしてみました。手持ちのNIKKOR ED180mm f2.8やSigma300mm f2.8をセットし、屋上に配置、3階の自室からUSBケーブルを繋いでコントロール。オペレーションはYoutubeで学んだアプリのASCOM、SharpCap、SynScanPro、Stellariumで自動導入を試し、さらに中古のT7というCMOSカメラ(ASI120のドライバーで動く)買って、カメラレンズに接続し、phd2でオートガイドしプレートソルビングまで順調にクリア。しかし撮影はSONYカメラだったため難航、最終的に海外の方が開発したα6400用ドライバーを入れてクリア。

続いて初の望遠鏡CELESTRON C90 Mak Spotting Scopeを購入。月を撮影して売却。少し後にアクロマートもナローバンドで撮影するとアポクロマートみたいになるって聞いてKenkoSE102 NEWスカイエクスプローラーを買ってみた。

2番目に買ったのは

自動導入ができるようになって、次に買ったのが最も安価なAZ-GTi赤道儀。これは新品を購入。三脚と微動雲台は手持ちのManfrottoでまかない。ウェイトはホームセンターのボルトとナットで製作。Youtube見ながら赤道儀化。wi-fiアダプターも買ってi-phoneからもコントロールしてみた。すこぶる簡単。さらに天体撮るならカメラはIR改造機が必須なので、ここでも安価なSONY NEX5Rを手に入れた。このモデルはアプリで30秒までのタイムラプス撮影ができるのがポイント。ただし、リモートコントローラーは繋げない。

撮影機材が一式揃った8月末、これを持って兵庫県では有数の星空撮影地である砥峰高原へ。その時撮ったのがこちら。DSSでスタックしてPSで処理した。M31はSONYα6400にNIKKOR ED180mm f2.8でDarkとFlatも撮影。天の川はSONY NEX5RのFE20mmf1.8Gを以前から持ってたMove Shoot Moveに載せた。どちらもノータッチガイド。初の本格的な撮影としては大満足でさらにモチベーションが上がる。

WilliamOptics Z61 MarkII ZenithStar

そして9月には少しまともな望遠鏡WilliamOptics Z61 MarkII ZenithStar APOを中古購入、専用のレデューサー61Rとガイドスコープも付属していたお買い得品。鏡筒は最近売却したが、レデューサーとガイドスコープは今も愛用している。

ツイン志向へ

光害地(自宅屋上)での撮影で露光時間を稼ぐのにツインで撮影したいという思いが湧き上がってきた。初期は同じ機材が2セットないので近いものを載せてみた。Z61とNIKKOR ED300mm。AZ-GTiではきつそうに見えるが、実際運用すると実用範囲内のガイド精度。この志向は強烈になっていく。300㎜レンズは3本になり、NIKKOR ED500mm2本投入。これを載せるためにEQ5も購入した。

NEX-5R赤外改造

レンズのツインかトリプル化に対応して、赤外カメラも3台に。実際にはNEX-5Rノーマル機とジャンク品4台を購入しいいとこどりで2台を仕上げた。改造に当たってはネットで参考になる記事があったが、実際にやってみると簡単ではなく、深夜まで格闘。UVIRカットフィルターはAliExpressで400-700nmを通過するSONY APS-C用を入手。なんでも手にはいくから便利。

オールドレンズの限界

手持ちのNIKKORオールドレンズ(180mm、300mm、500mm)を有効に活用しようと長期間にわたりいろいろ試してみたが、解像度が低い、色収差、コマ収差などいくつもの課題が出て来てなかなか解消できなくて、かなり中心部の画像しか使えない。APS-Cでも厳しい。実際に撮影した画像はこんな感じ。

アクロマートとフィルター

アクロマートがアポクロマートになるって記事に飛びついた。そして買ったのがNEWスカイエクスプローラー SE102、続いてSE120にアップデート。しかしこれだけではダメ。魔法のフィルターが・・・小さいのに高額過ぎて手が出せない・・・望遠鏡が買える。先ずはCLSそしてUHC、中華のHaとO3と試してみたが思ったような結果が出せず売却撤退。しかしフィルターワークの重要性はこの時学んだ。この頃はまだ3階の自室からPHDでオートガイド。撮影した機材と写真は

Pixinsghtで覚醒

ずっと気になっていた写真の仕上げ。動画や写真をやっていたのでAdobeCCやモデルをキレイに仕上げるプラグインを持っていたのでDSSとPSをメインで使用していた。なので導入が遅れたPixinsght。1月に45日の無料版を導入。合わせて30日無用版のBlurXTerminatorとNoiseXTerminator、そして無料のStarNet2をインストールして、以前撮影したデータを加工してみた。基本的なステップしか理解してなかったのでシンプルやってみただけだけど、仕上がりは劇的に変わった。教科書は「蒼月城」氏のYoutube。今では海外の方々のYoutubeも参考にできるようになった。最初に加工した写真を掲載するとこんな感じ。30日間練習したのち有料眼を購入した。天体写真を仕上げるうえで必要なソフト、いくつかの無料版もあるが、現時点ではPixinsghtが王道と思える。

最重要なオペレーションシステム ZWO社ASIAIR+++

10月は11夜、11月15夜、12月17夜、そしてC/2022 E3 (ZTF)の撮影に明け暮れた1月が過ぎた。2月初旬今後の撮影方向を模索するために、気になっていたオペレーションシステムを改善するための大投資!ASIAIR PRo、ASI120MM、ASI533MM、電動フィルターホイール、SV-BONYの2inch7nmフィルターセットを購入。AZ-GTiでもEQ5でも快適に動作する。WI-FI接続も試したが最終的には安定感のあるシリアル接続で固定。セッティングから自動導入、フィルター交換、子午線反転などすべてプログラムで作動する。仮眠の時間が長く撮れるようになった。8時間放置撮影も可能。最も優れているのはカメラの撮影データを使ったプレートソルビング。連日同じ構図で撮影できるのは最高。写真は2月下旬のファーストライト。後日、EFAも追加。現在ではminiも含めて3セットとなった。

銀河の季節到来!GS150CC購入++

3月、散光星雲が西に傾き東から無数の銀河が上ってきた。持っている最も長いレンズはNIKKORED500mmに1.4xと2.0xのテレコン。これで撮影してみるが、だんだん物足りなくなってきて、EQ5で何とか運用できる限界のGS150CCカセグレン鏡をお試し購入。口径150㎜焦点距離1800㎜、f12、0.8xレデューサーを付けて運用。これが結構いい感じに撮れて、その後Meda203㎜f6.3に買い替えたが・・・これは使えず即売却。現在はセレストロン旧型のC9.25でで落ち着いている。合わせて、LRGB撮影にも挑戦。

1年を終えて最終選定した機材

機材は自分の撮影目的に合わせてほぼ固定で安定して使えるセットで組み上げた。いろんなパーツを組み合わせられるのも天体撮影のいいところかもしれないが、その度に調整が必要で時間もロスするし、失敗も起きる。なので固定!そして一夜一ターゲットで次の一年を過ごそう!

1.ナローバンド撮影用:AskerFMA180Pro+ASI533MM のツイン(重量5kg)、マウントはEQ5とAZ-GTi+ASIAIRmini、SAOとLRGB用ナローバンドフィルター

2.ブロードバンド撮影用:Redcat51+SONYa7IR改造(重量3kg)、マウントはEQ5とAZ-GTi+ASIAIRProPlus、L-eXtremeフィルター

3.銀河撮影用:セレストロンC9.25+SONYa6400(NEX-5R)、マウントSXD+SS-ONEフルセット、CLS、QBPフィルター

※これらの機材については順次、詳細記事を掲載。

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